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2012/2/6公開
時代にフィットする音楽スタイル。2012年期待の男性シンガーソングライター特集
たとえばアデルの『21』が全世界で1600万枚売り上げたのも、時代が、人の心に寄り添い、人の歌声の力を求めた一例と言えないだろうか。さまざまな音楽ジャンルがあふれ、リスナーの嗜好(しこう)も細分化されるが、だれもが自分の心情とセンスにフィットする“歌”に出会いたいのでは? 今回は2012年ならではの、そしてさらなる活躍が期待できる男性シンガーソングライターを紹介します。
昨年9月にリリースしたセカンドアルバム『エピソード』がオリコン・ウィークリーチャート5位を獲得し、前作『ばかのうた』に続いて、第4回CDショップ大賞にもノミネート。ミュージシャンとしては卓越したスキルとセンスあふれるバンド、SAKEROCKのメンバーとして、そして俳優として出演したドラマ「11人もいる!」(テレビ朝日系)での不思議な存在感や劇中歌『家族なんです』も記憶に新しい星野源。
こうして書くと多彩で器用なマルチアーティストのように映るが、彼の音楽、ことに前作『エピソード』は全然さえない、人生の意味も見失いそうな主人公が、それでも絶望せずに自分の感覚や日々のささいなことを過大評価せずに淡々と生きるさまが描かれる。しかし、それこそが大義名分が崩れ去り、不安のなかで生きる幅広い世代のリスナーの心をつかんだのだろう。そして、ある意味、闇のなかからなんとか自分なりの光を見ていた前作から一歩外に出た印象を受けるのが2月8日リリースのセカンドシングル『フィルム』。ソロでは初めてエレキギターも導入し、サウンドも軽快になったタイトルチューンをはじめ、ローファイポップ感ただよう新境地の『乱視』など、ミニアルバム並みの5曲収録というボリュームも、いま、彼が表現意欲にあふれていることの証だろう。しかも初回限定盤には70分をこえる映像集も付いてくるという、シングルのあらたなあり方さえ提示する意欲作となっている。いまもっともその音楽や音楽に向かうスタンスに注目したいアーティストである。
80年代生まれでいまの日本を代表するシンガーソングライターといえば、彼、秦 基博だろう。昨年デビュー5周年を迎えた彼は日本武道館でのライブをバンド形態のみならず、ひとりきりの弾き語りライブでも開催し、あらためて楽曲と歌のオリジナリティーを体感させてくれた。また、大橋トリオの最新アルバム『R』に本人からのリクエストで参加し、絶妙な“声のアンサンブル”を披露。デビュ―以来のファンのみならず、いまも新たにリスナーを広げる作品の新鮮さも彼の強みだろう。
アーティストとして新たな一歩を踏み出す2012年の第一弾リリースは新曲4曲を収録した初のEP盤『エンドロールEP』。タイトルチューンは都会の冬の寒さや色彩とともに、いまはもういない“君”と、自分への後悔が浮かび上がるミッドチューン。繊細なストリングを効かせながら、軸はざっくりとしたバンドサウンドで構成しているところが逆にせつなさを増幅していて、彼らしい気骨を感じさせる。ほかにも秦流ラップが耳に心地いい『トラノコ』、胸苦しいほどの正直さに打たれるピアノ1本の『恋の奴隷』、オルタナカントリー的な『1/365』と世界観もサウンドも異なる濃い4曲が並ぶ。これまで以上に自由にエモーションを放つボーカルのすばらしさ、そして遠慮のない言葉の選択に「ポップかコアか?」をこえる新たなシンガーソングライター像を感じ、ドキドキしてほしいと思う。
昨年2月にリリースした『福笑い』(シングル『福笑い/現実という名の怪物と戦う者たち』収録)が2011年上半期ラジオチャ―ト邦楽1位を獲得。また、この曲を含むファーストフルアルバム『リアルタイム・シンガーソングライター』はオリコン・ウィークリーチャート初登場8位を記録し、第4回CDショップ大賞にもノミネートされている。アルバムタイトルにもあるように、「今日思ったことを今日歌う」ような鮮度で歌う彼のテーマは、目の前の社会や友情、恋愛、性や孤独といった、いまを生きる若者すべてが持つもの。
先月1月にはNHK総合の若手ディレクターが作るドキュメンタリー番組「ドキュメント20min.」で本人とファン両方の目線から取り上げられ、真剣に生きようとするがゆえにさまざまなことに悩み挫折しそうになる聴き手の背中を、同じような経験をしてきた高橋の説得力と親近感のある歌が押している様子が記録されていた。わかりやすい言葉で励まされるのではなく、リスナーが歌のなかにある物語に自己投影したり、ふに落ちる言葉を見つけたりする様子は、送り手と受け手の1対1の関係だ。そんな彼の6枚目のシングルは『卒業』。シーズンソングというより、新しい一歩を踏み出すには思い出が鮮やかすぎて、おびえる気持ちをかかえたあらゆる人に、いつかこんな日を笑い合えたらいいなと歌われる。これは決して若者だけでなく、幅広い世代に響く歌だ。これまで以上に静かに強いメッセージが込められたこの曲は、オリコン・シングルチャートで自身初のトップ10入りを記録。そしてこの『卒業』などを含むセカンドアルバム『この声』が3月14日に発売される。待望のアルバムをを起点に2012年の高橋優を見続けていきたい。
沖田修一監督の映画「キツツキと雨」(2月11日公開・東京国際映画祭審査員特別賞受賞)のために書き下ろした『フィルム』をはじめとする新録5曲を収録したセカンドシングル。なお、初回限定盤には『フィルム』のミュージックビデオ、2011年10月2日に行われた東京・SHIBUYA-AX公演や、レコーディングドキュメンタリーなどを収めた70分をこえるDVDが付属。
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新曲4曲を収録した初のEP。せつないウィンターバラード『エンドロール』をはじめ、「カンロ健康のど飴」CMソングとしてもおなじみの『トラノコ』、セルフプロデュースによる『恋の奴隷』、サウンドプロデュースを自身で行った『1/365』を収録。なお初回生産限定盤には『エンドロール』と『トラノコ』のミュージックビデオを収録したDVDが付属。
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6枚目のシングル。イントロの力強いピアノのサウンドも印象的な『卒業』、端的な言葉で人と人について歌った『HITO-TO-HITO』、そしてボーナルトラックとして女性言葉の歌詞がユニークな『怒りのハイヒール』を収録。なお初回限定盤はボーナストラックが『泣き虫空に可愛い傘〜LIVE from 月間高橋優STREAM Vol.2 2011.11.30』、付属DVDには「月刊高橋優STREAM“消灯ライブ”」を全曲収録。
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2012/2/12 13:14
おすすめの曲:怒りのハイヒール(ボーナストラック)、卒業、HITO-TO-HITO
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