ミュージックトップ > ミュージックマガジン > パワープッシュ > 東京事変「スリリングな音楽の快楽」
2010/2/19公開
■あと、このアルバムにはみなさんのリスナーとしての審美眼をすごく感じるんですよね。ルーツで言えばまったく異なる潮流をもった5人が集まっていると思うんですけど、ロックやポップミュージックに対する審美眼が根底で通じ合っているんだと思うんです。
椎名:うれしいです。確かにルーツはまったく違うのだけれど、“聴き方”みたいなものは近い感覚があると思います。
■そこがバンドとしてブレていないから、強力なポピュラリティーをもってリスナーに向かうと思うんです。
椎名:そういうこと言っていただいたのははじめてです。うれしい! そうなんです。本当にみんなそれぞれ好きな音楽を聴いて楽しんでいるというところがベースなんですよね。
浮雲:やっぱり自分が聴きたい音楽を作りたいですからね。だから、それぞれのメンバーが持っている音楽の好みのエキスだけを吸い取っている感じなんです。“誰々の、何年の、なんていう曲”みたいな話にはならないですね。
■さらに言えば、音楽がリスナーの感性に血肉化されるべきだという主張や提案をこのアルバムから強く感じるんですよね。
椎名:うれしい!
■(笑)。そういう意味でもこのアルバムは音楽がいたずらに消費されることに抗(あらが)っていると思っていて。
椎名:やっぱりどこかでそういう現状があることを悔しがっているんだと思います。そうじゃないお客さんがいっぱいいてくださるから、こうやって今回もアルバムを作らせていただけているんですけど、消費されるのは嫌だなっていままでよりも強く思っているかもしれない。
伊澤:うーん、おれはリスナーとして消費したことがないからわからない。
椎名:うん。はやりものだからという理由で作品を買って、いつか“ああ、懐かしいね”っていうだけのものにしてしまう感覚はわからない。私はいつも宝物のようにレコードを買って、大事にして、いまだに20年前のレコードを買った当時と同じようにドキドキしながら聴く人間だから。音楽を消費する人の気持ちはわからないんです。だからこそ“なんてことするんだ!”って思う。
■OKです。最後にあらためて、いま東京事変で音楽を鳴らすだいご味をどんなところ感じていますか。
椎名:審美眼っておっしゃっていましたけど、そういう意味では音楽だけではなくそれ以外の芸事から食事にいたるまで、いろいろな文化を広くとらえ、つなげ、こじつけておもしろおかしく制作していけたらなと思いますね。もう大人なんだから広く遊んだっていいんじゃないかと思いますし。『スポーツ』を作れたことでそういう夢が広がりました。
浮雲:やっぱりこのメンバーで音楽をやって、かつ聴いてくれる人がいることがだいご味ですね。そこにつきると思います。
伊澤:それぞれが東京事変以外でもいろいろ経験して、また5人が集まったときにその経験を生かせるバンドなんですよね。この先もそうあり続けると思うし、そうであればずっといいものを作り続けられると思います。最初からなれ合いはできないメンバーだから。
(インタビュー・文 / 三宅正一)
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「音楽を消費する人の気持ちはわからない」(椎名)

MTV VIDEO MUSIC AWARDS 2012 最優秀ビデオ賞 【Best Video of the Year】ノミネート作品
配信期間:2012/3/19〜2012/8/31

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